porta 2016 #023
16/16

第23号平成28年9月15日発行 発行元:一般財団法人長寿社会開発センター 〒105-8446 東京都港区西新橋3-3-1KDX西新橋ビル6F TEL03-5470-6753 FAX03-5470-6763駅弁がつなぐ地域の絆「坂本屋の角煮めし」 錦糸卵を敷き詰めたご飯の上に、大きな豚の角煮がゴロリと載っている。長崎では東坡煮と呼ぶ卓袱料理に欠かせない一品だ。口に入れると、ぷるん、とろ〜りと脂身が溶けて、肉がほろりとほぐれる。食感も味も実に上等。「皮付きのバラ肉を長時間ゆでると脂が抜けてゼラチン質だけが残り、旨み成分へと変わるんです。脂が抜けすぎるとパサパサになるのでギリギリのところで止める。その加減が難しい」とは坂本屋の岩重浩さん。ご飯はにんじん、ごぼう、椎茸などを混ぜ込み東坡煮の煮汁で炊いた混ぜご飯。良い香りがする。坂本屋は明治27年(1894年)創業の料亭旅館で、角煮めしはもとは板場のまかない食だった。請われて駅弁界に進出したのが平成14年のこと。実は観光客より地元にファンが多いという。「普通東坡煮は料亭でしか食べられません。駅弁になって気軽に味わえるのが喜ばれているのでしょうね」。繰り返して食べたくなる地元密着の駅弁だ。舌の上でとろける上等なバラ肉料亭の味・東坡煮を駅弁でとうばに長崎東坡煮は脂抜きしたあと、特製のたれに漬け込んで数時間煮込む火加減の微妙な調節にも職人技が必要だ地元のお客さんが鍋を抱え東坡煮を買いに来た時代も価格:800円販売:長崎駅問合せ:☎095-826-8211(坂本屋)text by駅弁女王日々の旅のなかで、今まで5000食以上の駅弁を食破。雑誌等に駅弁の連載、著書も多数。調製元と駅弁の開発も行う。旅行ジャーナリスト、フードアナリスト。Shinobu Kobayashi長崎

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 16

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です