porta 2016 #023
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「街のお助け隊コンセルジュ」は12年前、この中延商店街に開業。現役を引退したけれど元気なシニアたちが、それまで培ってきた経験や技術を生かして、商店街周辺に住む高齢者のお困り事を手助けする取り組みだ。「高齢になるとちょっとしたことができなくなるんです。たとえば、庭木の剪定やお部屋の片づけ、障子の張り替えなど。それらを元気なシニアが手助けする。助けてもらったほうもありがたいですし、助けたほうも生きがいを感じられる、互いにうれしいことになるわけです」と理事長の青木さんはいう。 この事業の最も特徴的なことは商店街とタッグを組んでいることだ。事業の仕組みはこうだ。料金は一般的な料金よりも安い設定になっており、それをクーポンでやりとりする。手伝いを希望する利用者は事務局で仕事を依頼するとともに、クーポン券を購入。サービス内容に合わせてクーポン券を仕事をしてくれたお助け隊に渡す。お助け隊はクーポン券を事務局に渡し、労働の対価として商店街で使える商品券を受け取る。 この仕組みは商店街の協力なしにはできない。活動を支援してくれたのが、開業当時の理事長だった橋本さんだ。「お助け隊は商店街周辺の高齢者たちの役に立ち、商店街が活性化することにも繋がります。青木さんを信頼し活動を手助けすることで、なごやかな街作りに貢献できると考えました」と橋本さんは語る。商店街の店主たちのクチコミで青木さんたちの活動は認知され広がることになった。さらに利用されるクーポン券は商店街で使われる商品券になり、商店街の活性化にも繋がっている。現在、橋本さんはお助け隊のひとりであり、庭の剪定をお願いするなど利用者でもある。お助け隊と商店街が培ってきた信頼関係によって、登録者は90名にのぼり、依頼件数も月に20〜30件ほどと広がっている。手助けをする人、助けてもらう人、それに商店街、この3者がともに笑顔になれる活動なのだ。商店街とのタッグで活動が広がっていく「街のお助け隊コンセルジュ」の事務所は商店街の路地の先。小さなアパートの一室が活動拠点。稀少な日本蜂蜜も販売中だ発足当時の商店街理事長だった橋本一雄さんは昭和8年から続く飴屋の店主。橋本さんの理解と協力が青木さんたちの活動を支えた街のお助け隊コンセルジュ理事長 青木弘道さん商店街を拠点にした活動は「NPO法人中延日本蜂蜜保存会」の活動にも繋がった
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