porta 2017 #027
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朝礼での号令や会社のイベントの司会進行も務めるパワフルな安達茂さん。時折ぽっと出る冗談が若い人を和ませてくれる静岡県産の本わさびを原料とした求肥のお菓子「玉だれ」。創業当時からその製法は変わらない手前から「黒豆大福」。今なお丸型にこだわって作っている「金鍔(きんつば)」。梅ぼ志飴から始まり現在6種ある榮太樓飴敬老の日などのお祝いごとに贈ると喜ばれる「松寿セット」。飴や日本橋羊羹などの詰め合わせく、若い人に教えてもらいながら、使えるようになるまで努力していただく。シルバー世代だからといって閑職にまわるのでなく、企業の戦力になって活躍してもらわないと困るのです」(細田さん) 安達さんが榮太樓でずっと働いてこられたもうひとつの理由は、社員を家族のように思ってくれること。「百貨店で働いている社員もいるので、年末は営業職の人だけ早く休みに入るのでなく全員がけたいと思っています」(安達さん) 榮太樓では以前からごく自然にシルバー世代を雇用してきていた。「私たちは、シルバー世代を安く雇用したいのではなく、長い経験と現場での営業力を大切に思っているからこそ長く働いてもらっているのです。ただし、必要最低限のことをやるという気構えがないと企業にとっても本人にとってもメリットがないと思います。たとえば、パソコンが使えない人の場合、『この年で今さら覚えるのは無理だ』と諦めるのでな社員は家族という老舗ならではの方針も支えに平等に働きます。社内で成人式も行うし夏の納涼祭では、管理職が屋台を出して社員にふるまうなどアットホームな雰囲気が働く支えになります」(安達さん) 仕事以外はノータッチという企業も多い中、社員とのコミュニケーションを大事にする企業にこそ若者とシニアが一緒に働ける環境をこれからも守り続けてほしい。ロッド・スチュワートや頭脳警察など70年代のレコードもたくさん収集している。ロックを聴いて語る会を半年に1回開催食後はコーヒータイム。いつまでも話はつきないが三々五々に解散となる朱美さんは音楽も大好き。夜はアルコールを飲みながら音楽三昧に浸ることもかつての上司の畑の収穫の手伝いにも出かけるならないので大忙しです」。参加者は通常8名程度まで。11時にスタートし、完成したのは14時近く。大皿から皆で取り分けて、メキシコビールで乾杯、いただきます。達成感もあり、実に楽しい。「ただ食べておしゃべりするだけでなく、料理本には書いていない、メキシコの文化や、なぜこのような料理が生まれたか、その背景などを講師に語っていただくのも私のサロンの目的の一つです。『旅と料理のカルチャーサロン』をテーマに掲げているんですよ」。料理を習う、というよりも人が気軽に集い、語り合う場にしたい、と話す。料理教室については公募はしていない。基本的に参加できるのは朱美さんの友人・知人とそ溌剌とした表情をしている。講師は日系三世の堅田ベロニカ美希さん。美希さんによると、この日に作る全6品の献立は「朱美さんが食べたいものを揃えた」そう。マダムと講師のキャッチボールが素晴らしい。机の上やキッチンには、ずらりと食材が並んでいた。メキシコのソースや調味料、トルティーヤなどは美希さんがインターネットで注文し、野菜や肉などは朱美さんが用意する。「料理教室のある前日は、40リットル入るキャスター付きのバッグを持って朝から買い出しをします。当日は一から始めたら時間がかかるので、ガラスープを作ったり、肉をゆでたり、タマネギの皮をむいたり、ある程度下準備もしなくてはの友人。ただ、朱美さんのブログを見て問合せがあった場合は受け入れるという。2015年1月にサロンをオープンして2年半で、教室の参加者はのべ170人(うち男性は5%)になった。平均年齢は50代で、ひと通りの人生経験を積んだ人たちが集まる。「以前の仕事は体力が必要で疲労することも多かった。今は自分のペースで暮らせるのでいい感じです。知人の輪が広がるのもうれしいし、講師の方々も、次回は生徒として教室に参加してくれるんです、素敵でしょ」。 食べることと本とロックとオペラが好きな朱美さんと「Al Salone di Sumi」は、まさにTOKYOならではのお洒落なサロンだった。高校時代の友人と年に一度、一泊旅行を楽しんでいる
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