porta 2017 #028
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たそうだ。現在は10時〜18時まで週2回勤務している。 「この時間帯は大学生が働きづらい時間ということもあり、私たちのような主婦が頼りにされているのはうれしいですね。今は基本的に週2回ですが、働いていると生活にリズムが出ますし、仕事があることで家事なども先延ばしせず、効率よくこなせます。接客業ですから、お化粧もきちんとして77歳になっても美意識をキープできます(笑)」(安藤さん) 小さなお子さまから「ありがとう」と言ってもらったり、久しぶりに訪れたお客さまから「お店にいてくれてうれしいです」と声をかけてもらったりすることがいちばんうれしいと言う。また、お客さま同士のもめごとやトラブルが起きたときの対応も社会経験が豊富だとスムーズにいくようだ。逆に不安に思うことはさまざまなカードが普及したことでレジの対応が複雑になったこと。 「カード払いの際、入金金額が100円足りなくて、ポイントを併用して、など複雑になってくで広げた。 「一般的にファストフードは若い人という思い込みがあったのですが、思い切って募集年齢をあげたことも今のシニア世代の活躍につながっているかもしれません」 東京都新宿区の店舗でパート従業員として働く安藤さんも56歳から約20年間、モスバーガーで活躍しているシニア世代の一人。子育てが一段落したのを機に、通勤に便利な場所で仕事をしたいと思っ毎日イキイキと過ごせて生活にゆとりが生じるると正直言って不安ですね。でも人一倍努力しています」 このように若い人、シニア世代それぞれが抱える不安や自信について「さまざまな世代の人が一緒に仕事をしているからこそ、知恵や工夫が生まれてくる」と近藤さんは話す。「できないからあきらめるのではなく、頑張ってやっていこうという人は年齢に関係なく力を発揮されています。今後、年齢だけでなく、多様な人材を採用していくことがダイバーシティにつながると思います」(近藤さん)最初は制服を着るのが恥ずかしかったけれど、今では気に入っています年代により得意不得意はありますが歩み寄ってやっていますね(近藤孝昭さん)60歳以上の従業員がいると、シニアのお客さまも利用しやすい1日1日きちんと無事に終える事が大切だと思っています(安藤美世子さん) これはと気付いたら、すぐさま実行に移す内藤さんの姿は、取材当日にも垣間見えた。この日はたまたまJR西日本の豪華列車「瑞風」の運行初日だった。前日に、「瑞風が上下線の行き違いのため5分間だけ温泉津駅に停車する、ただしドアは開かない」という情報を得た内藤さん、すぐさま地元の女性グループや市役所などに声をかけ、駅のホームでお出迎えできるように手はずを整えた。当日は、地元の幼稚園児からお寺のご住職まで、温泉津にこれほど人がいたのかと驚くぐらい大勢が集まり、駅はお祭りのように華やかなムードに包まれた。 「停まっているだけでは何の印象も残りませんが、旗を振ってお出迎えすれば、温泉津の名前を覚えてくれていつか訪ねてくださる方がおられるかもしれません。また初運行が山陰だったというのも本当に嬉しくて、歓迎の気持ちをお伝えできればと思いました」 こうした行動力の源はどこにあるのか驚くばかり。薬師湯のスタッフさんたちも、「年々パワーアップしているように見えます」と話す。その言葉通り、2016年には山陰特区通訳案内士を取得。2017年には石見銀山世界遺産登録10周年記念事業である料理のレシピコンテストに応募、最優秀賞を受賞した。 内藤さんを見ていると、本当に年齢は関係ないと思えてくる。諦めず少しずつでも前に進んでいけば、次第に人が集まり、思いは実現に近付いていく。 「幼少時から親しんできた茶道の心が、今の自分を支えてくれているように思います」と内藤さんは言う。人との出会いも自分の人生も一期一会。エレガントな物腰と柔軟な考え方に、長い海外暮らしで得た「外の目」とがバランスよく調和し、人を惹きつけてやまないのであろう。内藤さんを見ていると心から元気が湧いてくる。歴史や文化、観光地などを猛勉強し、2016年に取得した鳥取と島根限定の通訳案内士(英語)。難関資格にも果敢に挑戦している裏千家の正教授でもあり草月流師範でもある内藤さん。「島根に来て、お花を野から摘んで飾る楽しさを知りました」梅と薩摩芋を使った「銀山縁起物語」。内藤さん渾身のレシピをカフェでも提供。本因坊戦のお茶菓子にも!カフェの人気メニュー「奉行飯」は、代々伝えられてきた内藤家の味。おいしい!「温泉津ヘルスツーリズム協議会」発足の際の記念撮影。会長を務める内藤さんのお隣は大田市長
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