porta 2018 #029
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text by駅弁女王日々の旅のなかで、今まで5000食以上の駅弁を食破。雑誌等に駅弁の連載、著書も多数。調製元と駅弁の開発も行う。旅行ジャーナリスト、フードアナリスト。Shinobu Kobayashi駅弁がつなぐ地域の絆第29号平成30年1月15日発行 発行元:一般財団法人長寿社会開発センター 〒105-8446 東京都港区西新橋3-3-1 KDX西新橋ビル6F TEL03-5470-6753 FAX03-5470-6763日本海の幸があふれんばかり行楽や酒の肴にも最適新潟県上越市「磯の漁り火」いさり価格:1250円販売:直江津駅、上越妙高駅問合せ:☎025-543-3151 (ホテルハイマート) これほど酒に合う駅弁はほかにあるだろうか。まずは旅情を誘われるネーミング。夜汽車に揺られ、沖の漁火を眺めながらひとり旅。そんなイメージがわいてくる。酒はもちろん越後の地酒、淡麗辛口の「金鶴」がうまい。掛け紙をはずすと、漆黒に塗られた二段重ねの容器が現れる。高級感があり、見た目も上品だ。上段に盛り込まれているのはスルメ一夜干し、殻付きのサザエ煮、カニ身入りモズク、ニシンの甘露煮、エビ塩焼きなどなど。日本海の幸が総動員された内容に、左党なら思わずニンマリしてしまう。サザエは、噛むほどに内側から旨みがしみ出し、スルメは塩加減が絶妙。ニシンの味付けも最高だ。そして、磯の味モズク。モズク入りの駅弁などほかに見たことがない。酒が進むのも当然だ。下段にはのりで包んだサケと梅干のおにぎりのほかカズノコのワサビ漬けと漬物が詰められている。新潟産コシヒカリを使ったおにぎりは米の香り、味ともに舌に残るうまさ。酒の肴におかずを食べてしまってもおにぎりが締めになる。昭和の時代からの名駅弁。おすすめします。殻付きサザエやモズクなどまるで割烹料理店で味わうような充実した内容白い掛け紙と長めの掛け紐が凛としてすがすがしいラインの流れではなく、手作業で丁寧に盛り込んでいく上越市きんつる
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