porta 2018 #029
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んの想いに共感した「人」たちがいたからだった。福祉、医療、建築、地域づくりなどさまざまな専門家が瑠璃川さんを「助ける」のではなく、「一緒にこの想いを実現したい」と、夢を共にする同士として関わってくれたのだ。そのひとりが荻窪家族プロジェクト当初から応援している澤岡詩野さんだ。「2007 年に瑠璃川さんと出会ってから今に至るまで『新たな地域の居場所を共に創っている』というワクワク感をもらい続けています。自分だけの世界観に留まらず、いろいろな人の世界観を見て面白い!と乗ってくる瑠璃川さんの柔軟さが今日の荻窪家族プロジェクトへとつながっていったと思います」 構想から15年、ようやく住む人と、地域の人とが交流できる荻窪家族プロジェクトが完成した。建物は大きく分けてシェア型賃貸スペースである「レジデンス」と居住者以外の人も使える地域の交流拠点「百人力サロン」。荻窪家族プロジェクトの柱と言える「百人力サロン」では「ふらっとお茶会」ると思いました。できれば居住者はさまざまな年齢層の人がいたらベストですね。新しい住まいは、以前のように母屋と賃貸部分を分けるのでなく、このシェアハウスに自分たち夫婦も一緒に住むという方向で、次第に考えがまとまっていきました」 一時はデイサービスも併設しようと考えた瑠璃川さんだが採算的に難しいことがわかり、きっぱりあきらめた。「採算が合わず、大変な思いをするならデイサービスを考えていたスペースを地域の人と何かできることに生かしたほうがいいと思ったのです」。とはいえ、《風のように行き交える場を創りたい》という瑠璃川さんの想いが叶うまでは苦難の連続だった。まず、前例のない建物であること、さらに行政の縦割り制度、銀行の融資問題など、いくつもの壁が次々と瑠璃川さんの前に立ちはだかった。そんな苦難を1つずつ乗り越えられたのは、瑠璃川さ居住者と地域の人が交わる理想の賃貸が完成料理は管理栄養士の幸田真理さん(下)と半澤恵美子さん(上)がボランティアで。自宅で下ごしらえをしてくるそう「百人力食堂」の参加費はメンバーが600円、メンバー以外は700円。後片付けもみんなで一緒に「百人力食堂」では地域の人が集まってランチを食べながら楽しくおしゃべり

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