porta 2018 #031
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text by駅弁女王日々の旅のなかで、今まで5000食以上の駅弁を食破。雑誌等に駅弁の連載、著書も多数。調製元と駅弁の開発も行う。旅行ジャーナリスト、フードアナリスト。Shinobu Kobayashi駅弁がつなぐ地域の絆第31号平成30年8月15日発行 発行元:一般財団法人長寿社会開発センター 〒105-8446 東京都港区西新橋3-3-1 KDX西新橋ビル6F TEL03-5470-6753 FAX03-5470-6763長岡の伝統野菜や名店の食材を盛り込んだ調製元を代表する駅弁新潟県長岡市「越後長岡喜作辨當」価格:1050円販売:長岡駅問合せ:☎0258-33-2430    (株式会社池田屋) 掛け紙に描かれているのは明治時代の調製元の様子。鮮魚、御寿し、でんぶなどの文字が見え、当時は仕出しや食堂を営んでいたことがわかる。掛け紙から駅弁の歴史を紐解くのは楽しい。竹の皮を模した容器のふたを開けると仕切りのない空間にご飯、レンコンのきんぴら、シイタケ煮、油揚げとぜんまい煮、塩鮭、神楽南蛮鶏団子、卵焼き、ナスとショウガの味噌漬け、そしてデザートの笹団子が詰められている。ご飯は地元長岡産のコシヒカリ、梅干が置かれ黒ゴマがふられている。中身も決して派手な彩色や演出はなし。だからこそよけいに手作りのよさ、素材の確かさを実感できる。越後の米のうまさは全国に知られるところだが、神楽南蛮には唸ってしまった。長岡市内で栽培される南蛮(とうがらし)は大きくて、さっぱりした辛みが特徴。長岡野菜にも指定されている。これを練り込んだ鶏団子がピリリとした後味を残し、実にうまいのだ。ほかに、長岡市内で昭和初期から続いている「吉田屋とうふ店」の油揚げも味わい深い。丁寧に調製された駅弁、未来にも残したい逸品だ。見た目に派手さはないが、手作り感満載の食欲をそそる駅弁だ掛け紙に記されている明治時代の「池田屋」手間を惜しまず一品ずつ丁寧に手詰めされる駅弁「池田屋」の専務で看板娘でもある永橋ひかるさん長岡市べんとう

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