porta 2018 #031
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椀に、肉団子やつみれなど動物性タンパク質と野菜をたっぷり。お椀とおにぎり2個で一食の栄養価は完璧だ。さらに副菜3品がつき、彩りもあっていかにもおいしそうだ。開店と同時にシニアや子連れママなどが次々とやってくる。50〜60食が瞬く間に売り切れとなる。「ほんとうは、やればやるほど赤字なんです」と鷲尾さん。「でもいいんです。私達のNPOでは他の事業もやっているし、その中で考えていけばOK。それよりここは助け合いが大切。お椀も高価な会津塗を使い、セルフサービスではなく、配膳をするもてなしを大切にしています。食事を提供することが、ここを訪れる人と話をする糸口になればいいと思っています」と鷲尾さんはこの場所の意義を大切にしたという。 働くスタッフは全員有償ボランティア。ぐるーぷ藤の他部門を卒業した人を中心に、60歳以上の人達に声かけをしてきたという。「今は50代から最高齢は82歳まで働いてもらっています。実は人気がありすぎて、働くのを待ってもらっているくらいなんですよ」と笑う鷲尾さんのその人柄が、温「ここはあくまで助け合いの場なので、儲けは考えていません」という代表の鷲尾さん。食事を提供する場所をつくりたいという思いは前からあり、東日本大震災の際、被災地での食堂支援を続けてきたという経験も、鷲尾さんの思いを強くした。ちょうど場所を探していたときに、ここ「まるだい酒店」が借主を探していることを知った。まるだい酒店のオーナーの大木さん夫妻も「店をやめたら、みんなが集まる場所にしてほしいと願っていました」と言い、両者の思いが一致する。オーナーの大木さんは民謡をうたう会をここで開催し、毎日のように夫婦でランチをし、さらに3時にはコーヒーを飲みに来る。「昔なじみのご近所さんとお茶をしたり、遠方の人とも顔見知りになれたりと、毎日楽しくて。店の名前がそのままなのもうれしいですね」と大木さんはにこやかに笑う。 食堂のメニューは、大ぶりのおこの日の300円ランチ。会津塗の大ぶりのお椀につみれと野菜がたっぷり。男性でも満足できる厨房スタッフは有償ボランティア。鷲尾さんが事業所で働いていたスタッフをスカウトするなど、気心の知れた人達料理上手が誘われた理由だった沖智代さん(右)と、職場のアイドル的存在の石渡キヌ江さんはなんと82歳ランチの準備風景。小さなミニトマトも湯むきして誰もが食べやすいよう工夫している栄養満点のランチは売り切れ御免の大人気

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