porta 2019 #033
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text by駅弁女王日々の旅のなかで、今まで5000食以上の駅弁を食破。雑誌等に駅弁の連載、著書も多数。調製元と駅弁の開発も行う。旅行ジャーナリスト、フードアナリスト。Shinobu Kobayashi駅弁がつなぐ地域の絆平成31年4月15日発行 発行元:一般財団法人長寿社会開発センター 〒105-8446 東京都港区西新橋3-3-1 KDX西新橋ビル6F TEL03-5470-6753 FAX03-5470-6763計算された酢と塩のバランスがコダイのうまみを引き出す和歌山県和歌山市「小鯛雀寿司」 太刀魚、サンマ、カツオにクエ。紀伊半島・和歌山の豊かな海で獲れる魚は数々あるが、一番の名物は小鯛寿司。尾をつけたまま握った形が、ふくら雀のように見えることから、別名《雀寿司》とも呼ばれる和歌山県の郷土料理だ。 その伝統の味覚を駅弁で再現したものを「小鯛雀寿司」と呼ぶ。地元で《チャリコ》と呼ばれる紀淡海峡のコダイを丸ごと、秘伝の合わせ酢で締めて握ったもの。寿司は放射状に並べてあり、5匹の尾が真ん中で花のように開いている。醤油はついておらず、そのまま食べる。塩味を利かせてコダイの甘みを引き立てる昔ながらの製法で調製した寿司を、調味料なしで味わってほしいという熱い思いがひしひしと伝わる。 調製元の意を汲み、そのまま食べてみる。ふわりとやわらかく握ったシャリと、しなるような歯ごたえが特徴のタイとのハーモニーが絶妙だ。また、コダイを3枚におろした雀寿司もあり、こちらは明治31年から販売する超ロングセラーで6個入り(1080円)。食べ比べてみるのもよいだろう。価格:2250円(5個入り)販売:JR和歌山駅問合せ:☎073-475-6150     (和歌山水了軒)丁寧な手作業で新鮮なコダイを素早く調理する海外からの駅弁ファンも多く訪れる和歌山駅の売店和歌山市第33号うっすらとした紅色の皮が美しいコダイ

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