porta 2019 #034
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 子育てを終え、子どもが独立すると、生活に張りをなくしてしまうシニアは多い。「東京かあさん」は、そんなシニア層に生きがいをもたらす事業でもある。「ここでは利用者を『お子さん』と呼んでいますが、お母さんはお子さんのもとへ行くことで、生活リズムができる。頼りにされることで、自分を大切にしよう、健康でいようと思える。しかもお小遣いがもらえる。はじめは『私は何もできない』といっていたお母さんも、今はイキイキとお子さんとの交流を楽しんでいます」 価格設定は1時間1450円かと代表の小日向えりさん。「シニアの就労支援事業をはじめたのは、祖母がきっかけです。80歳までバリバリ働いてきたのに、仕事をやめたとたん元気がなくなり急に弱ってしまった。人は仕事があるからこそ元気でいられるのだと実感しました」 2019年の3月にスタートしたばかりの事業だが、現在登録しているお母さんは40名。平均年齢は60代後半で、ほとんどが未経験者からのスタート。中にはずっと専業主婦で、一度も社会で働いたことのない人もいるという。らと業界最安値。それは、家事代行を一部の富裕層だけではなく、本当に必要としている人に届けたいという思いからだという。「今はまだ赤字で試行錯誤の段階ですが、今後は『大阪おかん』『博多のおふくろ』など、地方都市展開へ。DIYなどを得意とするシニア男性を集めた『東京とうさん』へと、構想は膨らんでいます」 シニアは経験を活かし生きがいのある暮らしを、働き盛り世代はゆとりが持てる豊かな暮らしを、両者の笑顔の連鎖が拡大中だ。月額9800円~(月3回以内、6時間以内)で、お母さんと時間があえば30分の短時間の依頼もOKお母さんたちは、料理や掃除、ガーデニングなど、得意な分野の家事を喜ばれることで自信がつき、それが生きがいになっているお母さんから丁寧な暮らし、生活の知恵を学べるのも魅力サンミュージック所属の歴史アイドルの顔も持つ小日向えりさん。2019年はNHK Eテレの「高校講座日本史」にレギュラー出演中私も東京のおかあさんに助けられているんです将来は全国へ、そして「東京とうさん」も最近、地元の友人もできた。地盤作りは着々と進んでいるタンザニアの絵画やマサイ族のネックレスなどが飾られるP to P社内。窓の外には根岸線の列車や教会が見える創刊してすぐ、神奈川新聞から取材を受けた。『濱手帖』2号は7月発刊企画。第一回目にアフリカで獣医師として活躍する神戸俊平さんを招いた。動物好きで、アフリカが子供の頃から憧れの地だった香月さん。37歳の時にアフリカ大陸に初上陸してから、現在までに12回現地を訪れているとか。ちなみに神戸さんの活動を金銭、精神面で応援する「アフリカと神戸俊平友の会」の日本事務所もP to Pに置いている。今後はワークショップなど人の集まれる場づくりをしたいと話す。 馬車道近くのビルの7階にあるオフィスは広くはないが、美しい夕日の風景が眺められる空間は、とても居心地が良い。「家から会社まで歩いて40分。散歩気分で歩くことも多いです。帰りに家の近くのバーに寄るのも楽しみのひとつになりました。子どもの頃に2ヶ月でやめたピアノも習ってみたいですね」  ほどよいアルコールと、たっぷり野菜をとることが健康の秘訣とか。やりたいことをひとつずつ有言実行。香月さんの心身は限りなく若い。 7月発行の『濱手帖』2号は「港町らしい名店、魂の物語」をテーマに横浜に暮らし、根付いた各国の人と店を紹介。ほかに、P to Pからヒサ クニヒコさんの一コマ漫画の本も今までに2冊出版している。 もうひとつ、P to Pの仕事の柱になるのは講演会「大人の学校」の主催だ。『濱手帖』を通して仲間作り、P to Pのファン作りを続けるが、リアルに楽しんでもらう場所としてと「大人の学校」を出版だけでなく、人が集まれる場も作りたいいまやっていることが好きなので土日も取材したりしています

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