text by駅弁女王日々の旅のなかで、今まで5000食以上の駅弁を食破。雑誌等に駅弁の連載、著書も多数。調製元と駅弁の開発も行う。旅行ジャーナリスト、フードアナリスト。Shinobu Kobayashi駅弁がつなぐ地域の絆第34号令和元年8月15日発行 発行元:一般財団法人長寿社会開発センター 〒105-8446 東京都港区西新橋3-3-1 KDX西新橋ビル6F TEL03-5470-6753 FAX03-5470-6763選び抜いた自然食材と野趣たっぷりの料理静岡県富士市「巻狩弁当」価格:1200円販売:JR新富士駅問合せ:☎0545-61-2835 (富陽軒本社) 昭和時代からのロングヒット駅弁。中身はご飯とおかずに二分されており、おかず部分にはサケの照り焼き、笹がき信田(しのだ)巻き、牛肉のイノシシもどき生姜煮、鶏の雉(きじ)焼き、タケノコの古武士煮、コンニャク煎り煮、フキの青煮、シメジの旨煮など多彩な料理が詰められている。 地元をはじめ、全国の旬の素材を生かした品々は野趣たっぷりで、まさに巻狩りという弁当のテーマを見事に表現している。 おかずのメインは肉厚の焼きサケ。皮もうまみたっぷりだ。鶏の雉焼きは、やわらかい肉質の中に味がしっかりしみ込んでおり、たっぷりふりかけたゆかりご飯との相性がよい。種類豊富な煮物類はやさしい味わいに仕上がっており、気持ちをなごませてくれる。揚げ物が入っていないため健康志向にもマッチした内容といえる。 弁当名になっている「巻狩り」は、鎌倉幕府の初代将軍、源頼朝が富士の裾野を中心に開催した大規模な狩猟のこと。頼朝が陣を張った富士宮市の「陣馬の滝」では、毎年地元有志によりまつりが行われている。盛りつけにも美味しく見える工夫が施されている武士の巻狩りの様子を描いた掛け紙が目を引く「美味しいからぜひ一度食べてみてくださいね」富士市何度でも食べたいと思わせる駅弁はホンモノだ。派手さはないが本当にうまい駅弁
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