porta 2021 #040
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 桐生市は群馬県南東部に位置し、奈良時代から絹織物の産地として知られている。郷土の上毛かるたでは「桐生は日本の機どころ」と詠まれ、町を歩けば織物工場のたたずまいに懐かしさを覚える。 デイサービス「こらしょ」は東武鉄道新桐生駅から歩いて10分ほど福祉士養成校で講師もしたのですが、やはり自分の生きがいである現場に戻ってきました」 人が好きなのは、両親が桐生市内で食堂を経営しており、子供の頃から毎日、たくさんの人との出会いがあったことも影響している。一人っ子の藤屋さんは、食堂のお客さんたちと心置きなく話をした。「デイサービスの経営は天職かも」と、笑う。 さて、音楽をテーマとするデイサービスとは、実際にはどんなプログラムが組まれているのか? 例えば月曜日は唱歌や童謡を歌う日。藤屋さんがピアノやギターで伴奏する。火曜・木曜日はカラオケの日。ご利用者はマイクを持って得意な歌を披露する。ほかに、にある施設。音楽をテーマに認知症予防のリハビリなどを行っている。日差しが注ぐガラス張りの明るい空間で、訪ねた日は8人のご利用者が絵を描いたり雑談をしたり。笑顔があふれ、リラックスした雰囲気に初対面とは思えず、すぐに溶け込んでしまった。 「こらしょ」を運営するのは藤屋則子さん。桐生市で生まれ、高校卒業後は毎年のようにさまざまな資格を取得し、企業、保育園の調理師、デイサービスの生活相談員・介護職員などを務めたが、一念発起して2014年に「こらしょ」を開設する。 「私は現場が好き、人と触れ合うのが好きなんです。介護教員免許も取得しており、一時期、介護「人と触れ合うのが好き。常に現場に立っていたい」企業勤務、保育園の調理師などを経てデイサービス施設を開設。「音楽療法のノウハウを全国に広めたい」と話す藤屋さんに介護事業と音楽事業の連携についてうかがいました。取材・文/小林しのぶ  撮影/筒井聖子「平成29年に社会福祉事業従事者として群馬県知事表彰をいただきました」楽器を持つ人々の顔はみな笑顔・笑顔。リズムが合わなくたって関係ない。音楽の持つ力を実感する。楽しいひとときだ

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