多くの人がそうであるように、認知症とは、当事者も家族も、そしてこれから認知症になる人にも不幸な病気と考えていたという。 「認知症と診断されると、もう人生は終わりみたいに思っちゃうでしょう? でも、認知症=何もわからなくなることではないんです。認知症とはどんな状態か、軽度ならどんな状態で何ができるのか、当事者はどう思っているのか、そんな相互理解の場として『おれんじドア三鷹』を立ち上げました」 「今日は天気がいいので、公園で体操しましょう」。代表の成清一夫さんの声かけで、この日は三鷹市丸池公園でのラジオ体操からスタート。一緒に体操をしていると、誰が認知症当事者かわからないほど、青空の下、皆のびのびと楽しそうに体を動かしている。体操のあとは、地域包括支援センターのスタッフも交えてミーティングだ。 「おれんじドア三鷹」は、認知症当事者と今後、認知症になる可能性がある高齢者などが協力し合う場として、2020年に発足。毎週月曜午前中に三鷹市の地区公会堂で体操とミーティング、ウオーキング、外部から講師を招いての勉強会などを行っている。 「2020年に三鷹市に『認知症条例制定要望書』を出したのですが、その過程で認知症当事者の話を聞く機会があり、それまでの私の認知症に対する認識がまったく間違っていたことに気付いたんです」と話す成清さん。それまでは週1回の交流で、相互理解の場になりきよかずお市内の各地に同様の活動を仕掛けたいですいつもは気功健康法体操をしているがこの日は「音源を忘れてしまって」(成清さん)とラジオ体操に。そんなリラックスした雰囲気も皆が集まる魅力のひとつラジオ体操の音楽を口ずさみつつ、無理なく楽しく体を動かすと自然と笑顔に講師を招いての勉強会、参加者の経験談などを成清さんが冊子にまとめ配布しているミーティングでは市のイベント紹介のほか、それぞれの悩みなどもフランクに話し合う「認知症当事者、家族、協力高齢者や福祉や医療の専門職など、延べ参加者は300名以上です」
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