porta 2024 #048
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自然派のワイン造りから人が集まる仕組み作りへ信楽焼の壷。「呼吸をしている壷での熟成はシャープな味になるんですよ」 「ワインを造るなら『ビオ・ディナミ』とか『ナチュラル系』がいいと思っていました」という渋谷さん。 「ビオ・ディナミ」とは、植物が持つ生命力を月の満ち欠けなど自然界のエネルギーで活性化する農法で、「ナチュラル系」とは、酸化防止剤などの化学的な添加物の介入をできる限り減らして醸造するワインのこと。 「私はダイバーとして3000本以上海に潜ってきて、年々サンゴが減っているなど環境変化を目の当たりにしてきました」。渋谷さんは環境カウンセラーとしての活動もしており、ぶどう畑を有機栽培にするだけではなく、コンパクトなワイナリーで、約8割は酸化防止剤不使用のワインを醸造。収穫したぶどうを3〜4カ月陰干しする「ホシワイン」や、ミズナラ・サクラなど様々な木材を使った樽のほかに信楽焼の壷でワインを熟成するなど、独創的なワイン造りに挑戦している。 「自分が元気で働けるのもあと10 「私も移住してきて、地元の農家年くらい。そのため今の課題は、いかに多くの若者をワイン造りに呼び込むかなんです」という渋谷さん。新しい「絶景の畑」には富士山と棚田を望むピクニックデッキや、観光や畑の手伝いのために訪れた人が泊まれるシェアハウスを建築予定だという。さんや大工さんに助けてもらいました。でも高齢化で徐々に休耕田が増えていく。もっと若い人を巻き込んで、関係を深めるキッカケづくりがしたいんです」イタリアの伝統製法、アマローネの造りを参考にぶどうを陰干ししてエキスを凝縮「ワイン造りを決意したとき、まずは自転車通勤で体力作りをはじめました」樽のオーナー制度があり、「オーナーをイメージして熟成を進める」というタンクはすべて胸の高さより低く、小ロットで丁寧な醸造を実践している収穫したぶどうは機械を使わず、足で踏んで潰す。昔ながらの伝統製法だ

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