porta 2025 #051
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そのためにはシニア従業員の長年培ってきた経験や知恵が欠かせないんです。例えば、飲食店ではお客様が『担当はいつもの○○さんに』とシニアスタッフを指名くださるほど。定年を迎えた社員を本人の希望があれば積極的に嘱託社員や準社員として再雇用しているのもそのためです」という部長の佐藤弘明さん。歴史ある店舗だけに、三世代にわたって愛用する顧客も多く、その家族構成までも把握するシニアスタッフは、それぞれに合わせた心地良い空気を演出できるのだという。再雇用制度に加えて、東京都の「東京キャリア・トライアル65」などを利用したシニア採用も実施。 「これまで積み重ねてきたさまざまな経験や、今いる従業員とうまくやっていけるかという『人間性』を重視して採用しています」シニアも含め、従業員に長く活躍してもらうための社内環境整備も大切にしている。 「10年ほど前から実施している『明るい職場づくり』では、年3回、部署内での懇親会に補助金があり、さらにその内容をコンテストにして報奨金を出しています。また『なんでも一番表彰』という制度では、部署内で『笑顔がいい』『机がいつもキレイ』などささいなことでもいいと思う人を投票。得票数の多かった人に報奨金を出します。永年勤続表彰も、商品券や旅行券と年々豪華にしているんですよ」経営企画室(現社長室)に再雇用の池田雅人さんに来ていただいたのも、これまでの経験を現場の問題解決に役立ててほしいという意図があったという。池田さんは、中途採用で人形町今半に入社し、銀座店や新宿髙島屋店、横浜髙島屋の店長などを経験。再雇用後は、全事業所を巡りながら、各店のさまざまな課題解決に携わっている。 「店の雰囲気や抱える問題はそれぞれ異なりますが、これまでの経験や社内研修によって身につけた 「現場スタッフにとっては、ベテ    スキルで、より良い提案をしています」という池田さん。ランの池田さんになら何でも相談できるという安心感があるようです」と佐藤さん。池田さんの楽しみは、そうした指導による従業員の成長のほか、今も週2回は行く店舗での接客。「お客様に喜ばれるのが最高のやりがい」と、時には顧客のお祝いの席で、学生時代からの趣味である合唱曲を披露することもあるとか。「好き」を喜びにし、さらなる「喜び」を演出する。人形町今半では、そんな幸せなサイクルができているようだ。「好き」であることが長く続けられる秘訣80歳以上の方も9名が店舗の第一線で活躍中です「健康第一。毎日1万歩歩き、週1回ジムにも行ってます」という社長室所属の池田雅人さん(73歳)03-3666-2350 https://www.imahan.com明治〜昭和の名席浪曲寄席「喜扇亭」を引き継ぎ飲食店として開業した「人形町本店」「私自身も5年ごとの永年勤続表彰を楽しみにしているんですよ」と微笑む佐藤さん株式会社人形町今半住東京都中央区日本橋蛎殻町 1-4-5電HP

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