text by駅弁女王日々の旅のなかで、今まで5000食以上の駅弁を食破。雑誌等に駅弁の連載、著書も多数。調製元と駅弁の開発も行う。旅行ジャーナリスト、フードアナリスト。Shinobu Kobayashi駅弁がつなぐ地域の絆令和3年5月15日発行 発行元:一般財団法人長寿社会開発センター 〒105-8446 東京都港区西新橋3-3-1 KDX西新橋ビル6F TEL03-5470-6753 FAX03-5470-6763昭和39年から販売を続ける飛騨の味満載の名物駅弁岐阜県高山市「味の合掌づくり」 幕の内弁当は、おかずが上でご飯が下にあるのが普通だが、レイアウトが逆転しているのがユニークだ。しかし、このままでOK。駅弁を俯瞰して見ると、おかずの入っている五角形の受け皿は合掌造りの家。黒ごまは茅葺きの屋根で白いご飯はしんしんと降る雪。ついでに黄色い雲と梅干の赤い太陽が輝いている。風雪に耐えた合掌造りの建物と季節の空。飛騨地方ならではの景色を駅弁で描いているのだ。 おかずは、飛龍頭、フキの煮物、孟宗筍、シイタケ、ワラビ、ナツメ、マスの甘露煮、葉トウガラシなどなど山の幸が中心。野菜がたっぷりで、しかもどれもやさしい味付け。古民家の夕餉に招かれたような味わい深さに満ちている。 パッケージの版画は、高山市内の中学生が彫った作品。思わず手に取りたくなる迫力がある。高山駅の駅弁売り場はスペースが広く、たくさんの種類が並んでいるが、いつも手にとってしまうのがこの駅弁だ。季節はずれといわずに目で、舌で体感してほしい。価格:1050円(税込)販売:JR高山駅問合せ:☎0577-32-0184 (金亀館)高山駅構内の駅弁売店白川郷の冬の風景を表現、一幅の絵のような駅弁だ高山市ゆうげ
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