介護支援専門員基本テキスト
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における価値の重要性を考えると、三つの円が重なっているのではなく、相談面接過程をけん引しているエンジンの部分として価値をとらえ直すことができます(図表1-4)。■図表1-4エンジン部分としての価値のイメージ価値知識技術価値は、知識や技術と比べても、見えにくいものです。また、他者に対して自分が何を根拠にしているか説明が難しいものでもあります。しかし、AさんとBさんが、なぜ異なる援助の方法を行っているかについて、そのもっている価値や倫理を突き合わせてみると、AさんとBさんの違いは、価値や倫理というエンジンの部分の違いによるものだということもできます。価値や倫理は、知識として学びにくく、また、一度体得した価値は簡単に変えることが難しいものです。だからこそ、価値を相談援助の全プロセスを率いていくエンジンととらえることで、自らの方向性を見極めることができます。介護支援専門員のケアマネジメントプロセスは、介護保険法のなかで決められた多様な責務が継続するもので、行わなければならないことが明確に規定されています。しかし、相談面接自体は、行わなければならないことが始めから決められているのではなく、目的と関係性を熟慮して見つけ出していくものです。ケアマネジメントプロセスが業務として決定されているがゆえに、自分がなぜ行っているか、どのような方向に向かっているかについて、見落としてしまいがちになります。だからこそ、相談面接の全容をけん引するエンジンとして価値をおくことによって、事務的な手続きも明確に行いながら、その本質をあるべき方向に向けていくことが可能になります。線路のない列車であるがゆえに、方向性を見出していくことは、列車全体の責任でもあります。けん引していくエンジン部分を、自分ができる限り深く認識し、常に見直していくことが大切です。第5編第1章第5編第2章425第1章ソーシャルワークとケアマネジメント

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