介護支援専門員基本テキスト
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第節11介護保険制度創設のねらい介護保険制度が創設された背景、そのねらいや社会保障体系における位置づけを学び、制度の目的や理念を理解する基礎にしてください。1.介護保険制度創設の背景介護保険法は、1997(平成⚙)年12月に成立し、2000(平成12)年⚔月から施行されました。介護保険制度創設の背景としては、高齢化の進行に伴い介護を必要とする高齢者が急増し、介護問題に対する国民の不安が高まっているにもかかわらず、当時の老人福祉制度および老人保健制度がその要請に十分応えられるものでなかったことがあげられます(図表2-1)。■図表2-1既存制度の問題点老人福祉制度の問題点老人保健制度の問題点・サービス利用の権利保障が不十分・サービスの選択ができない・所得調査等に対する利用者の心理的抵抗・中高所得者にとって利用者負担が過重・サービス内容が画一的・介護を理由とする一般病院への長期入院(いわゆる社会的入院)の発生・要介護高齢者にとっての病院の生活環境の不十分ささらに、両制度間には、利用手続きや利用者負担等の不合理なアンバランスといった問題があり、高齢者の介護問題に十分な対応ができないことが明らかとなりました。介護保険制度は、このような問題に対応するため、分立した制度を再編し創設されました。2.介護保険制度のねらい(1)高齢者介護問題への社会全体での取り組み高齢者人口の増加に伴い、独居高齢者や高齢者夫婦のみの世帯の増加が見込まれることから、高齢者介護を、国民の共同連帯の理念に基づき社会全体で支えるしくみとして、介護保険制度が構築されました。22

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