介護支援専門員基本テキスト
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介護を必要とする高齢者の自立支援と家族の介護負担の軽減を図り、高齢期の介護問題に対する国民の不安を解消することが大きなねらいです。(2)利用者本位のサービスの提供介護保険制度が創設される以前の老人福祉制度は、市町村が「介護を必要とすると認めた高齢者に対するサービス提供義務」を負う「措置」という考え方に基づくしくみでした。介護保険制度では、「自分のことは自分が主体性をもって決めていく」こと(自己決定)を専門職が支援するという考え方に転換し、利用者とサービス提供事業者との契約に基づくサービス提供を基本とする方式に切り替えられました。利用者の自己決定を基本とし、利用者が自身の選択に基づき適切なサービスを総合的かつ効率的に受けることにより、生活の質(QOL)の向上と尊厳の保持を目指すものです。介護支援専門員は、このような理念を具体化するため、利用者の立場に立った介護のあり方を本人と協議して考え、利用者の選択に役立つ情報をわかりやすく提供したり提案したりする専門職として法律に位置づけられています。(3)社会保険方式の導入1)給付と負担の明確化高齢者人口の増加に伴い介護費用の増大が予測されるなかで、その財源を安定的に賄うしくみとして、保険料と公費を組み合わせた社会保険方式が採用されました。保険料を負担する見返りとして介護サービス等にかかる給付を受けるという権利が明確になるとともに、給付の水準と保険料負担との関係が可視化できるので、介護サービス等の拡充に伴う負担の増加についても、国民の理解を得ることにつながりやすいと判断されました。2)社会保障の体系と介護保険①社会保障の概念社会保障制度は世界各国においてそれぞれ歴史的に形成されてきました。そのため、「社会保障」という言葉も広こう狭きょうさまざまな意味で用いられ、現在、確立した定義・概念はありません。日本では、第二次世界大戦後の社会保障制度の形成に大きな影響を与えた総理府社会保障制度審議会の1950(昭和25)年の勧告(社会保障制度に関する勧告)が、「社第1編第1章第1編第2章第1編第3章23第2章介護保険制度導入の背景等

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