介護支援専門員基本テキスト
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第節22相談面接技術相談援助職である介護支援専門員にとって必要な知識と技術について、基本的な内容を学びましょう。相談面接に関しては、以下にあげる三点について理解する必要があります。第一に、相談面接技術を考えるときに、技術やスキル、テクニックというような、面接者がどのように何を行うかに焦点があてられますが、その面接者自身の姿勢や態度、また、抱いている感情等も含めて、相談援助にかかわる多様な価値を確認することが大切です。第二に、相談面接は、人間と人間との信頼関係に基づいて展開していきますが、その筋道はやみくもに進んでいくものではありません。面接者がクライエントとの間で何を行ったのか、そこから何を認めて評価できるのか、何が不足して次の課題に残されているか、さらに、そのときに体験した不可解な感覚も含めて、相談面接のプロセス全体を一つの生き物のような過程としてとらえていくことが欠かせません。第三に、相談面接は、人と人とのかかわりという点で、コミュニケーションを基盤に展開しています。しかし、そのコミュニケーションとは、日常のなかで交わされる多様な場面でのコミュニケーションの様相とは異なっています。その相違点や類似点について、再確認することが必要となります。相談面接に熟達すればするほど、改めて人としてのコミュニケーションの方法を再考察することが大切です。1.相談面接における価値と倫理的配慮介護支援専門員として相談面接にかかわるときに、一人ひとりの介護支援専門員が、以前から学んでいる、あるいは体得している専門職の価値というものがあります。しかし、これは相談面接にかかわることを目的として学んできたものではないと考えられます。ここでは、ソーシャルワークでいう「価値」の歴史も若干踏まえながら、相談面接における価値を抽出していきます。(1)相談面接における価値の位置従来、ソーシャルワークの三要素として、価値・知識・技術が提示されています。これは、ソーシャルワークに限らず、対人援助専門職すべてにかかわるものです。価値・知識・技術を各円の重なり合ったものとして考えることもできますが⚑)、相談面接424

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